喪失

34年間の付き合いと喪失の3日。

PCで文字を入力すると時、その人の最初の
頭文字を入れると勝手にフルネーム変換される。

のろまな生活に埋もれていくものの、
ふとした瞬間に辛い現実が顔を覗かせる。

この世界の片隅にを絶賛する私に、
「見れたらいいな…」のコメント。

その後、あれだけレスの早い人だったのに、
LINEも既読にならず、携帯にも出ない。

ただ事ではないと、わかっていたのに、
根拠のない楽観論で、距離や仕事のせいにしていた。

その仕打ちは、やっと携帯が繋がっで代わりに出た弟さんからの
「姉は先月、亡くなりました。」の告知だった。

私はそのまま、映画館の駐車場にしゃがみこんだ。
とても立っていられない。

さっき見た、作り物の映画では泣いたくせに
この現実には涙も出ない。

昨年、当時のメンバーと５人で冬の軽井沢で
キャンプしたのが最後となってしまった。

あの満天の星空を本当に喜んでいた。
それが僅かな救いだけど、早過ぎる。

いつだったか、場所は恵比寿で、とても明るい昼下がりに
「私の病気のこと聞く勇気がある？」って…

私には聞く勇気はあったけれど、
この現実を受け入れる覚悟はない。

誇り高く、美しい人だった。

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